過去作品紹介【溝音】

2019年上演作

第九次右脳爆発『溝音』


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(動画ページへは、記事ラストのリンクから!)


 物理的な「溝」を施した舞台で、足湯、サバゲー、発掘現場、警察署といった場面を中心に各人の思惑が交錯する群像劇。舞台上に高さ100㎝ほどのカーテンを設置し開閉することで、3方向の客席に対しそれぞれにしか見えない情報を提示、時にバラバラだったそれらが合致し「やっと繋がったな!」という爽快感は中毒モノ。


脚本・演出/渡辺岳 コメント


 2017年の「三人分の欠陥」に続く、客席対面式舞台シリーズ第二弾。この「溝音」は前作の反動で生まれたと言っても過言ではない、完全に奇をてらった演出ありきの作品です。


 「溝音」のひとつ前の作品、第八次右脳爆発「つくりもの、歪む」を書いている当時私は、脚本が難産すぎるあまり納期にも追われ、物語の整合性ばかり気にして舞台演出のことをあまり加味出来ていなかったのを覚えています。つまり「こういう演出がしたいから、物語にこんなシーンを加えよう」という作り方ではなかったということ。

 別に作り方としてはそれでも良いのかもしれないけど、何より悔やまれたのが「つくりもの、歪む」は若手演出家コンクールの二次審査対象作品で、結果的には落選したこと。アホなことに「演出」が審査対象であるにも関わらず、ハナから演出へのウェイトが高くなかったのです。アホや~。


 その「アホや~」は結構長引き、その後劇団関係者で行く城崎温泉旅行中にもふと脳裏を過るほどに後悔していました。(城崎温泉は最高でした)


 さて次はどうしようと考えているうちに「次は完全に演出ありきでやってみよう」ということで思いついちゃったのがあのヘンテコ舞台。

①花道舞台に溝を作ったらどないやろか

②最初から犯人の名前をメッセージで出したろか

③犯人の名前を最初から知ってる人とそうでない人が客席に混在したらおもろいな

④カーテン開けたら情報が出てくるってどないやろか

⑤舞台を3方向で囲んでそれぞれで違う情報を見せようか

という順番で構想が出来ていったと記憶しています。振り返ってみると①の工程がそもそも尋常じゃないですね。


(↓着想時のメモ)

 という感じでなかなかハイリスクハイリターンな着想からスタートした第九次右脳爆発。客席エリアによって別々の情報を提供しながらも同一の物語を上演する──なかなか稀有なシチュエーションにお客さんはおろか関係者も結構混乱しただろうと思います。


 それと【情報の過不足】というのが本作の大きなテーマだったので、演出上、役名を明らかにするタイミングをかなり遅らせたり、最後まで役名が明らかにならない役もある異様さ。脚本上は「バイト」「子供」「社員」とかにしていましたね(役名と演者一覧はブログの一番最後に載せておきます)。だからこそ役がちゃんと衣装で特定できるように、と思いそれぞれの役を様々なベクトルで目立たせたという工夫も。


 あとに出てくる舞台裏ちょい見せ!の動画を是非ご覧いただきたいのですが、役者陣は普段の演技にプラスして【客席から見えないように次シーンの用意をする】というミッションがあるので体力・精神力ともにかなり負荷がかかっていたと思います。計算上この高さなら客席から見えない…と稽古するものの、小屋入りしてみないとどれだけの深さの溝なのかも体感出来ない。そんな役者陣の不安をよそに私は「面白い舞台やな、皆楽しそうやな」なんて羨ましがったり。


(↓舞台裏ちょい見せ動画)

 観劇三昧でご覧いただける映像本編は全ての客席エリアからの情報が全部知れちゃうスペシャル仕様なので、当時ご来場いただいた方には是非別視点でもお楽しみいただきたいです。

 また初見の方にも、カーテンギミックやいちいちリアルな小道具、全員集合すると「どういう芝居?」な衣装…なかなかフルボリュームなのでこちらも見どころ。映像はOPに加え時系列整理でも登場する安心設計。いやあ頭使う芝居だから助かる。

 そういえば「タランティーノっぽい」というご感想を終演後に頂けたのは音響のおかげか…それまで使用していなかった70年代洋楽ポップスがブルーシートと和装にマッチする様を是非ご覧いただきたい。


 本作で手応えを感じた右脳爆発は、次作「RE:PLAY」に大きく打って出るのであった…



観劇三昧にて【本編公開中!】


第九次右脳爆発

『溝音』

2019年7月7日上演

@神戸アートビレッジセンター

脚本・演出 渡辺岳


▽あらすじ

「彼を——————」

幕開けは一つの依頼からだった

空(くう)を飛び交うは不完全な聲(こえ)

空(から)を湛(たた)えるは静かな秘密

偶然は時に、大きな波乱を巻き起こす

あなたの目に映るものは隠された真実の一面にすぎない…!

右脳爆発が仕掛ける、客席対面式舞台シリーズ 第二弾

全てが可視化された時 “溝” を越えてみえるものは


▽CAST

助手 :暮森芹

依頼者:佐藤陽香

猟師 :稲田祐二

子供 :岡田光司

同期 :唄種夢(演劇空間WEAVECUBE)

学者 :圓札愛里

バイト:川辺美紗子

霊媒師:佐藤奨士

警官 :練間沙

社員 :山本千尋



【劇団 右脳爆発】

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